不毛なべた基礎、布基礎論争 その5

その4につづきます。

その4でご紹介したように、べた基礎の場合、建物の重さを地面に伝える役目になるのは、べたーーーっとした土間コンクリートだということを説明しました。

繰り返しになりますが、フーチングとは比べものにならないくらいの面積があるわけですから、面で受ける圧力はかなり分散されます。したがって、それほど地面に硬さを求められることはないわけですが、だからといってゆるゆるの地盤でもいいか?といえばそうではありません。

基礎形式については、「建設省告示第1347号 建築物の基礎の構造方法及び構造計算の基準を定める件」にしっかりと規定されています。ここの「第一」に以下のような記載があります。

第一 建築基準法施行令(以下「令」という。)第三十八条第三項に規定する建築物の基礎の構造は、次の各号のいずれかに該当する場合を除き、地盤の長期に生ずる力に対する許容応力度(改良された地盤にあっては、改良後の許容応力度とする。以下同じ。)が一平方メートルにつき二十キロニュートン未満の場合にあっては基礎ぐいを用いた構造と、一平方メートルにつき二十キロニュートン以上三十キロニュートン未満の場合にあっては基礎ぐいを用いた構造又はべた基礎と、一平方メートルにつき三十キロニュートン以上の場合にあっては基礎ぐいを用いた構造、べた基礎又は布基礎としなければならない。

一 木造の建築物のうち、茶室、あずまやその他これらに類するもの又は延べ面積が十平方メートル以内の物置、納屋その他これらに類するものに用いる基礎である場合

二 地盤の長期に生ずる力に対する許容応力度が一平方メートルにつき七十キロニュートン以上の場合であって、木造建築物又は木造と組積造その他の構造とを併用する建築物の木造の構造部分のうち、令第四十二条第一項ただし書の規定により土台を設けないものに用いる基礎である場合

三 門、塀その他これらに類するものの基礎である場合

まとめると、こんな感じですw

地耐力
(地盤長期許容応力度)
kN/㎡
基礎杭べた基礎布基礎
地耐力< 20××
20 ≦ 地耐力< 30
30 ≦ 地耐力

逆に言えば、法的な部分でも布基礎を採用するとなれば地耐力を30kN/㎡以上は求めるというわけですので、やはりそれなりの強さは地盤に求められます。一般的な改良工事といわれるものを施せば、概ね100kN/㎡くらいまで楽に出ますので、改良工事を行えば一般的な木造小規模建築物であれば「余裕」ってわけです。ただし改良費がかかるわけですが、このあたりの工事費と設計の簡便さをトレードオフできるかどうか?ってところが検討の余地があるわけです。ま、これは設計者個々の判断になりますので多くは語りませんが、弊社では「お客様に余計な負担をかけない設計」を旨としており、そのために構造計算を行って建物重量から要求される地耐力の「レベル」を想定しています。

話しをもどしますw さて、この表をそのまま理解すると、地耐力が20kN/㎡と30kN/㎡くらいであれば「べた基礎」で大丈夫ってわけですが、実際には建物重量を受ける面の面積で割って必要な地耐力を想定する必要があるわけです。「面の面積」で割るわけですから、想定する面が小さければ、その部分の圧力(接地圧)は増大します。

ちょっと極端な話しをしますw 以下の図をご覧ください。

これは、1階の床面積に対して、べた基礎区画を6つとったものと、1つでとったものを示しています。どちらも「べた基礎」なわけですが、この両者にものすごく大きな違いがあります。赤は柱をイメージしています。

右側のべた基礎の場合、べた基礎の一つの区画に作用する柱からの力は12箇所分あります。左側のべた基礎の場合は、一つの区画に4箇所あることに気が付きます(あのう、厳密にはちょっと違うんですが、説明を簡単にしてますので、専門家の方はご了承くださいwww)。

べた基礎に求められるのは、上から力が作用しても、その基礎自体には変形や損傷がないってことです。つまり、右のべた基礎には12箇所から作用する力に対して変形しない、壊れないってことが求められるのに対し、左のべた基礎の場合には一つの区画で4つだけ受け持つので力は小さくなります。

柱一本にかかってくる力はどちらも同じですから、少ない負担のほうが「べた基礎」にとっては有利になる「はず」です。ですが、お気づきかとは思いますが、一つの区画が小さいわけですので、圧力はデカくなるというわけです。受け持つ柱が減っても圧力はデカくなるわけですので、ぶっちゃけど、左のパターンのほうが有利とまでは言えない可能性があるわけです。そして、このことは、

「構造計算によって確かめる必要がある」

というわけですw 計算の結果、左のような「べた基礎の区画」に対して、全部一様な強さにならないことは当たり前に発生してくることです。その場合、どのように対応するか?というと、各区画で強さが変わるような設計を行うというわけですが、それを施工した場合にはこんな感じになります。半分壊してシリーズのべた基礎をご覧くださいw

耐圧版の鉄筋のピッチが違いますよね?w 荒いところはそれほど接地圧がデカくないところ、細かいところは接地圧がデカいところってわけですが、地面が強烈に硬ければ、べた基礎の土間自体にそれほど大きな強度は必要なくなります。必要なくなれば、

 「布基礎でもよくね?」

って話しになってきますw さて次回は、この「耐圧版」が「耐圧版として存在しうる条件」について解説します♪

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