ガーディアン・シールド施工見学会

以前ブログでも取り上げた、「株式会社 住宅構造研究所」の「ガーディアン・シールド」の施工見学会を急遽開催しました。

まぁ、見学会といっても、低コスト工法を勧めている「福井県建築住宅課」の職員の方と大工さんたちでの見学会でした。趣旨としては低コスト工法の手引きにも記載がある「ガーディアン・シールド」なのですが、使ってみたら思ったんとイイ方向に違うということがわかったので、低コスト工法を推奨している福井県としても、ぶっちゃけどうよ?を知っておいてもらおうという趣旨ですw 細かい製品紹介は割愛しますので、以下のメーカーさんのホームページでご確認くださいませ♪

さて、まずは設置後の全景をご覧ください。

ブレースを受けるプレートがかなりデカいです。こんなものが壁に納まるんか?って最初を感じていて、採用に躊躇していたのですが、実際に形状を確認すると「薄い」のです。

プレートはL型に折れ曲がっていて、その部分にビス固定を求められるのですが、この折り返しが9mmしかありません。これはかなり現場施工を重視して考えられています。特に、和室廻りでは壁構造が「真壁」となりますので壁厚は薄くなります。耐震改修ではこの真壁を「大壁」といって柱を見せない形式での壁に変更することが多いのですが、和室としての設えが無くなりますので「室」としてのイメージがかなりかわってしまうことになります。

耐震改修を耐震性をアップするという側面だけで計画するのであれば、それはそれで「仕方がない」ことかもしれませんが、せっかくの和風の設えをぶちこわしていく提案が果たしてお客様のためになっているのか?という部分では、正直、甚だ疑問です。耐震性をアップさせるのと同時に、意匠性を担保していく工夫というのは重要で、はっきり申し上げれば、それが本来「設計」の仕事だと考えています。

金物の説明にもどりますが、「ガーディアン・シールド」は、このプレートと斜めに入っているブレースがセットなのですが、必ず考慮していかなければならないのが「取り付ける柱の補強」なのです。

両側の柱の柱頭部には「ホールダウンボルダ20」を、柱脚部には「エルダ15」というかなり引抜抵抗が強い金物を設置する必要があります。これは柱の引抜に抵抗するだけではなく、柱ホゾのせん断抵抗の側面でも考慮されている金物のようで、2026年度から運用される新耐震診断での接合部としてはⅡ+に対応できることになります。

見学会ではまずは完成形をご覧いただき、その後、実際の取付施工の状況を見ていただきました。まずはプレートの取付ですが、取付ビスがかなり長い(90mm)ので施工精度を上げるためと、材の割裂を防ぐために、細いリード孔を開けてからビス施工をしています。

次にブレースの取付です。

実は、この何気ない画像に「ガーディアン・シールド」を採用した理由がすべて凝縮されています。ブレースは、長押及び付鴨居の「うしろ側」を通しています。ブレースは1本もので納入されるわけではなく、ターンバックルで分割して納品されます。

つまり、長押や付鴨居を外すことなく、裏側を通すことで組み上げることができるわけです。弊社ではこれまで、和室の設えをキープするために、大工さんで長押を外して施工していました。ですが、改修する壁だけの長押を外すわけではないのです。長押は四方にはいっていますが、入れたときと逆の順番で外していく必要があるのです。また、最近では内装ビスなどでの留め付けなのでインパクトドライバーで外すことはできるのですが、昭和50年代以前はすべて「釘」で留められていますので、その釘を1本1本抜いていく作業が必要になります。細かいピッチでは打たれていないので、1面あたり、3~5本ですが、釘抜きで少し浮かしながら釘を切ってというのを1本の釘に対してなんども行っていくわけですので、長押の外しだけでも1~2日かかることもあります。さらに付鴨居についても同様に外しますが、これも柱にホゾを切って納めているので、その細工を切り落とすなどの処理をして外すことになります。新しく入れ替えることもできますが、それでは経年変化した木の風合いが合いませんので余程の理由がない限りしません。それが「ガーディアン・シールド」を使うことで、1か所あたりの施工時間は慣れれば15~30分で終わることができるのですが、省施工というレベルの話しではないのです。

また、柱頭につける「ホールダウンボルダ20」ですが、そのボルト取付のところにはビックリの仕掛けがあります。以下の画像は、ボルダ20の柱頭の梁につける金物です。

この金物を梁に固定して、16mmのボルトを垂らすのですが、ネジ穴を良くご覧ください。一番底の方に樹脂のリングが見えます。この樹脂ですが、インパクトドライバーなどで本締めした際に、ボルトがこの樹脂の部分に食い込みながらネジを切っていくのです。手で回したくらいではこの樹脂でボルトが止まるのです。従って、取付する際の仮締めは手でおこなって、本締めする際に確実に樹脂にボルトを食い込ませるということを実現しています。本締めの際にはボルト先端に袋ナットを取付て締め上げます。

ホールダウンの金物に対して、最終的なナット締めを行いますが、そのナットにも樹脂リングが仕込まれています。経年変化による緩みはほとんどなくなります。

ここまでの一連の施工の流れを見学していただいたのですが、低コスト工法を推奨する福井県として、こうした現場での施工情報を共有し、公開していくことで、県下の耐震改修業者のノウハウとなることは行政サイドとしても重要なことですし、本来は、業者向けの公開見学などを行うという必要もあるのではないか?と思いました。また、新たな工夫ができれば随時公開していこうと思っています。

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